「食事中だよ!!」何度注意しても歌ってしまう。風呂場でもリビングでもベッドでも…娘の頭の中はページェントでいっぱいだ。促されるわけでもなく、1人で練習をしている。次第に歌の種類が増えていく。「これは〇〇ちゃんの歌」「これは〇〇くんのパート」
おいおい、そんな余裕あんのか?と思いながらも、毎日聞かされるページェントの歌を、気づけば私も口ずさむほどに。衣装のサイズ直しも終わり、我が家でもページェントへ向けてムードが高まってきた。
試練はいつだって土壇場にやってくる。ページェントを翌週に控えた週末、上の子がインフルエンザに。娘は登園できなくなり、家で過ごすことに。妻は娘が感染しないように、自分も体調を崩さないようにと神経を擦り減らしていた。幸い他の家族に感染することなく、娘が登園できたのはページェントの前日。それでもリハーサルではしっかりできていたと聞かされ一安心。
当日の朝、こたつに潜っていた娘は不安そうな顔をしていた。こんな小さな身体で、緊張や不安、プレッシャーとたたかっているんだな。ページェントというイベントに、子どもたちがこんなにも真剣に、責任感を持って取り組んでいるんだと思うと胸が締め付けられる。入園時と比べるとすっかり重くなった娘を抱き上げ、少しの間抱きしめていた。
ページェント会場には開演10分前に到着。席はほぼ埋まっていて、パイプオルガンの音色が響き、独特の緊張感に包まれていた。子どもたちが入ってくる。始まりとともに、元気な歌声が礼拝堂に響きわたる。あか組(年少)のとき、「娘たちの代は人数少ないからページェントどうなるかね」と妻と話していたのを思い出した。余計なお世話だった。一体感を感じる素敵な歌だった。
娘がステージに上がる。朝、不安そうにしていた彼女はもういない。堂々と、本当に堂々と演じていて、その姿を直視できない。娘だけじゃない。ぴんく組から一緒だった子も、おどおどしてたあの子も、泣いてばかりだったあの子も。皆いつの間にこんなに頼もしくなったんだろう。ページェントは今日、この1日だけだけど、その一瞬一瞬にこれまで育ってきた日々を重ねてしまい、熱い思いが溢れてくる。
子どもたちは大人の想像を超えて成長しているんだなぁ。そして、ページェントという大きなイベントが、彼らにとって大きな経験となり、さらに成長していくんだろうな。
アドベントクランツの灯が消え、子どもたちが退場した後も、会場は温かい空気に包まれていた。「ベテル」という家で、保護者や先生方、関係者の方々、大きな家族に見守られ、子どもたちはのびのびと育ってきたんだな。
上の子から合わせて5年。本当にたくさんの人たちに支えられていることを実感し、感謝の思いでいっぱいだった。
2024.12